KYOCERA 京セラコミュニケーションシステム株式会社

ERP導入でよくある課題と成功のポイントとは?

ERP導入でよくある課題と成功のポイントとは?

業務効率化を目的として多くの企業で導入されているERP。この記事では、ERPの基本や導入時の課題、成功させるポイントについてわかりやすく解説します。実際にERP導入を検討するなら、事前に確認しておきましょう。

 

目次


ERPとは

ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略で、企業の経営資源を統合的に管理するシステムです。会計や人事、在庫管理などの業務を統合し、情報の共有や効率化を図れるため、企業全体の見える化を実現し、経営判断をサポートするツールとして注目されています。

ERPに関するより詳しい内容は以下の記事をご覧ください。

 

参考コラム:ERPとは?個別業務システムとの違いや導入メリットを解説

ERP導入前の課題

ERPを導入する際の課題は主に4つです。ERP導入前に確認しておくべき課題について、それぞれ詳しく解説します。課題を事前に把握し対策を講じることで、スムーズな導入につながります。

現行システムの仕様がわからない

ERP導入前の時点で、現行システムの仕様や機能が十分に把握されていないケースが多く見られます。そのため、ERPを導入する際に必要な機能や設計が不明確になり、トラブルや後戻り作業の原因となることが1つめの課題です。

課題解決のためには現行システムの正確な調査とドキュメント化が重要であり、関係者間で共通理解を持つことがスムーズな移行につながります。ERP導入前には必ず現行システムの仕様や設計を把握し、関係者間で共有しましょう。

属人化した業務が残り続ける

企業の中には、特定の担当者だけが理解し対応できる業務が多く存在します。属人化した業務は、ERPを導入する際に大きな課題となるため注意が必要です。業務の属人化は、担当者が不在になると業務が滞ったり、引き継ぎが困難になったりするリスクをはらんでいます。ERP導入の前に業務の標準化やマニュアルの整備を進め、誰でも対応できる体制を作ることがERP導入成功のために不可欠です。

過去の業務のやり方に固執して移行が進まない

長年続いてきた業務プロセスや慣習に強く固執すると、新しいERPシステムへの移行が遅れることがあります。ERP導入では、従来のやり方に慣れている社員が変化に抵抗感を示すケースも少なくありません。しかし、ERPは業務の効率化と改善を目的としているため、柔軟な姿勢で新しい業務フローを受け入れることが必要です。関係者はもちろんですが、社内全体へ向けた教育や説明を十分に行い、現場の理解と協力を得ることが課題を解決する鍵となります。

カスタマイズで導入費用が増大する

ERPは業務内容などに合わせてカスタマイズできますが、過度なカスタマイズを行うと導入にかかる費用が大幅に増加します。カスタマイズは初期費用だけでなく、将来的な保守やバージョンアップ時の負担も重くなるため、長期的なコストやリスクを招きかねません。標準機能を活用しつつ必要最低限のカスタマイズにとどめることで、費用の抑制と安定的な運用を両立させられます。カスタマイズは最小限に抑え、ERP導入や運用にかかる費用を抑えましょう。

ERPを導入する際に必要な考え方や進め方は以下の記事でも詳しく解説しているのでぜひご覧ください。

 

参考コラム:ERP導入における「Fit to Standard」とは?業務標準化を推進する新たな選択肢

ERP導入時・運用フェーズでの課題

ERPの導入・運用フェーズでは、新たな課題が表面化します。IT部門と現場の意識のズレやデータ活用の難しさ、経験豊富な人材不足、さらにはベンダーに任せきりでプロジェクトが停滞するケースなどです。以下で紹介する課題を理解し、適切に対処しましょう。

IT(情シス部門)と現場が衝突する

IT(情シス)部門はシステムの安定稼働やセキュリティ対策を最優先し、現場は業務の効率化や使いやすさを重視するため、双方の視点にズレが生じやすいです。この価値観の違いからコミュニケーション不足や誤解が発生し、意見対立や摩擦を引き起こすことがあります。結果、問題解決が遅れたり、ERPの効果的な活用が妨げられたりすることがあるため注意が必要です。定期的な対話と相互理解を深め、両者が協力して課題を解決する体制づくりが重要です。

データの活用方法がわからない

ERPによって集められた大量のデータをどのように活用すれば良いのか分からず、せっかくの情報資産が十分に生かされていない企業は多くあります。情報資産の活用にはデータ分析や活用の専門知識が必要であるにもかかわらず、実際には適切な人材や分析ツールが不足していることが大きな課題です。目的を明確にした上で必要なデータを抽出し、有効活用できる体制づくりが重要です。また新たに作られた体制を実行するためには、社員教育やサポート強化も重要です。

ERP導入の経験がある人材が少ない

ERP導入の経験が豊富な人材が社内に不足していることは、多くの企業で共通する課題です。経験者が少ないとシステムの選定や運用に関する判断が難しくなり、プロジェクトの進行やコミュニケーションに支障が出ることがあります。外部の専門家を活用したり社内で育成プログラムを設けたりして、ERPに詳しい人材を増やす取り組みが必要です。ERP導入を検討する際には、同時に社員教育や育成プログラムについても検討すると良いでしょう。

なお、ERP導入の経験や知識が豊富な人材がいない場合は、ERP導入支援のコンサルタントを起用するのも1つの手段です。以下の記事でERPコンサルタントの支援内容について具体的に解説しているので、ぜひご覧ください。

 

参考コラム:ERPコンサルタントとは?役割をわかりやすく紹介

ベンダーに丸投げしてプロジェクトが進まない

ERP導入プロジェクトをベンダーに任せきりにすると、要件の共有不足や進捗の遅れが生じやすくなります。情報や進捗の共有が不十分だと期待通りの成果が得られず、プロジェクト全体が停滞するリスクがあるため注意が必要です。リスク回避のためには自社内で責任者を選定し、ベンダーと緊密に連携しながら積極的に管理・調整を行うことが重要です。双方のコミュニケーションを密にすることが、ERP導入を成功させるポイントとなります。

ERP導入を成功に導くポイント

ERP導入を成功させるには、計画的な準備と実行が欠かせません。プロジェクトリーダーの選定や業務プロセスの整理、自社の業界に適したERPの選択などが重要です。以下で紹介するポイントを押さえ、ERP導入を成功へ導きましょう。

プロジェクトを推進するリーダーを選定する

ERP導入プロジェクトの成功には、強いリーダーシップを発揮できるリーダーの選定が欠かせません。リーダーは現場、IT部門、ベンダーなど、各関係者の意見をまとめ、課題を早期に発見し解決に導く立場です。新規プロジェクトのリーダー経験がある人材を選ぶと良いでしょう。また、計画の進捗管理やリスク対応も担い、プロジェクト全体の方向性を明確にします。信頼できるリーダーがいることで、プロジェクトの成功確率は大きく高まるでしょう。

業務プロセスの整理と変革から考える

ERP導入の成功には、現状の業務プロセスを整理し、必要に応じて見直すことが不可欠です。単にシステムを入れ替えるだけでなく、業務の効率化や最適化を目指して変革を進める必要があります。関係者全員が業務内容を理解し、改善点を共有することで、新しい仕組みにスムーズに対応できる体制を整えられるでしょう。関係者の共通理解や認識の共有はERP導入において重要であり、業務改善を活性化し、より効果的なERP運用につながります。

自社の業界に特化したERPを選定する

ERPは業種や業態によって必要な機能が異なるため、自社の業界に特化した製品を選ぶことが重要です。業界特化型ERPは業界特有の業務に対応しやすく、導入後のカスタマイズを最小限に抑えられます。また、同業他社での導入実績が豊富であれば信頼性が高まりサポート体制も充実していることが想定されます。自社の業務に合ったERPを選ぶことで、効率的な運用と迅速な問題解決が可能です。

ERPに求める要件の優先順位を決めておく

ERP導入にあたって、自社が求める機能や要件の優先順位を明確にしておくことが大切です。すべての要望を満たそうとするとコストや導入期間が膨らみ、プロジェクトが複雑化します。現行システムや業務を整理した上で重要な項目から優先的に対応し、段階的に導入を進めることで効率的に効果を引き出しましょう。社内の関係者間で優先順位を共有し、合意を得ることも重要です。必要な機能に優先順位を付け、計画的に導入を進めることが、ERPの導入効果を最大限に引き出すポイントとなります。

 

自社のビジョンや経営方針を確認しておく

自社のビジョンや経営方針を事前に明確にしておくことで、ERP導入の成功率は高まります。作業や計画に一貫性が生まれ、組織全体で共通の目標に向かって取り組めるようになるためです。ビジョンや経営方針を確認しておけば、ERP導入後の運用や改善活動の方向性が定まるため、長期的な成功につながります。明確なビジョンと経営方針に基づいてERPを導入することで、組織全体の連携が強まり、企業の持続的な成長や競争力の向上に役立つでしょう。

まとめ

ERP導入に伴う課題は多岐にわたりますが、事前の準備と組織内の連携を強化することで成功の可能性が高まります。そのためには、現行システムの把握、属人化の解消、業務プロセスの見直し、適切なリーダー選定などが重要です。自社のビジョンや経営方針に沿ったERP選定と必要な機能の優先順位付けを行い、積極的な関与を続けることが長期的な効果を生みます。また、信頼できるベンダー選びも欠かせません。KCCSでは、大規模企業や製造業に特化したERP「Infor」を提供しており、またERP導入支援のコンサルタントも在籍しております。ERP導入検討の際にはぜひご相談ください。

 

 

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