KYOCERA 京セラコミュニケーションシステム株式会社

ERPの運用で失敗しない方法とは?成功のポイントも紹介

ERPの運用で失敗しない方法とは?成功のポイントも紹介

ERP導入後、「Excelに逆戻りした」「現場に定着しない」「ルールが守られない」など、運用面でつまずく企業は少なくありません。

 

  • なぜ現場が活用しきれないのか?
  • どこに落とし穴があるのか?

 

本記事では、よくあるERP運用上の失敗とその原因を整理し、ERPを“使える資産”に変えるための成功ポイントをわかりやすくご紹介します。

 

目次


ERP運用の基本的な進め方

ERP導入後の運用は、計画的な切り替えから日々の安定稼働、継続的な改善まで一連の流れを押さえることが成功の鍵となります。各ステップを段階的に進めましょう。

 

①ERPのリリース前最終調整

システム本番稼働に向けた最終準備と移行を実施し、スムーズな切り替えと運用開始を目指す段階。問題発生時には速やかな対応体制を確立する。

②ERPの本運用

リリース後の安定稼働を図り、ユーザーの問い合わせに対応しながら日常業務の中でシステムを活用する段階。

③ERPのシステム保守

システムの継続的な安定運用を支援し、必要に応じて不具合対応や機能更新を行う段階。

 

ERPのリリース前最終調整

ERPシステム導入直前には、本番環境の最終チェックやデータ移行の検証、ユーザー周知など入念な準備が求められます。複数部署が関わるため、各担当と連携しながら切り替え手順を共有し、万一のトラブル発生時にも即対応できる体制を整えることが重要です。これにより、スムーズなERPの稼働開始につなげることができます。

ERPの本運用

ERPの本運用フェーズでは、日常業務にシステムを活用しながら、安定稼働を維持することが求められます。ユーザーからの問い合わせや初期の問題発生に迅速に対応し、データの正確な入力や更新を継続します。定期的なバックアップやシステム監視も重要です。これにより、業務効率化と安定した運用の確立を目指します。

ERPのシステム保守

ERPのシステム保守は、安定稼働を長期的に維持するための重要なフェーズです。不具合や障害が発生した際の迅速な対応に加え、最新のバージョンアップやパッチ適用を計画的に実施します。定期的な監視やログ解析を通じて潜在的な問題を早期発見し、業務への影響を最小限に抑えることが求められます。業務を安定させるためにも、継続的なサポート体制の整備が欠かせません。

ERPの運用でありがちな失敗事例

リリース準備を経て本運用・保守フェーズに入っても、ERPが十分に活用されず、期待した効果が得られないケースは珍しくありません。特に、運用体制の不備や現場との連携不足で、システムが現場に定着しない・形骸化してしまうこともあります。ここでは、そうした運用面でのありがちな失敗事例をご紹介します。

元の業務プロセスに戻る

ERPを導入しても、現場の業務にうまくフィットしない(業務フローに合っていない)場合、操作が煩雑などの理由で現場が従来のExcelや紙の業務に戻ってしまうケースがあります。これはERPが業務に定着していない典型的な状態であり、システムへの不信感を招くだけでなく、運用効率の低下にもつながります。定着に向けた改善が必要です。

出力データが経営指標として活用できない

ERPから出力されるデータが、経営判断に必要な形になっていないケースもよくあります。たとえば、部門横断での集計ができない、データの粒度や更新頻度が合っていないなどで経営層が必要とする分析に使えない状態です。これは初期の設計段階で要件定義が不十分だったり、現場での入力ルールが徹底されていないことが原因であり、計画的な見直しが求められます。

体制が不十分で質問やトラブルに対応できない

ERP導入後の運用体制が十分でないと、現場からの問い合わせやトラブル発生時に対応が遅れ、ユーザーの不満や混乱が拡大し、システムへの信頼が損なわれてしまいます。「誰に聞けば良いのかわからない」「エラーが放置されている」といった声が続くと、現場での活用が停滞し、最終的にはシステムが形骸化するリスクにつながります。システムを有効活用するためには、社内外のサポート体制の明確化と継続的で適切な支援が不可欠です。

マスターデータを自社で管理できない

ERPの中核であるマスターデータ(商品一覧や取引先情報など)は、自社で正確に維持・更新できる体制が必要です。しかし、運用初期から外部ベンダー任せにした場合、社内での管理ノウハウが蓄積されず、修正や拡張が必要になった際に適切な更新ができないということもあります。その結果、データの整合性が崩れ、業務全体に影響を及ぼす可能性が高まります。正確かつスピーディーな運用のためには、マスターデータを自社で管理・更新できる体制が必要です。

システムの導入・保守費用が負担になる

ERPの導入だけでなく、運用・保守にも継続的なコストがかかります。特に初期投資を抑えたつもりでも、機能追加や個別対応が重なることで、当初の予算を超過するケースが少なくありません。また、運用フェーズでの保守契約やベンダー対応にかかる費用が不明確な場合、その負担がコストパフォーマンスへの不満につながることもあります。長期的な費用設計と費用対効果の検証が不可欠です。

ERP運用を成功に導くポイント

ここからは、現場で活きるERPにするために、日々の運用で押さえたいポイントをご紹介します。

導入目的(解決したい課題)の明確化

ERPは導入することが目的ではありません。まずは現状の課題を明確にしたうえで「何のために導入するのか」を明確にすることが何より重要です。現状の課題、たとえば業務効率の向上、情報の一元管理、属人化の解消など、解決したい課題が曖昧なままだと、運用方針にブレが生じ、現場への定着もうまくいきません。課題と目的を関係者間、そして社内全体で共有し、その際ERPの導入によりどの課題がどのくらい改善されるか、定量的な数値目標があると、要件の優先順位や運用体制も明確になり、導入後の成果につながりやすくなります。

マスターデータの管理方法の標準化

ERPの運用を安定させるためには、マスターデータの管理ルールを明確にしたうえで社内で標準化する必要があります。部署ごとに更新ルールや管理者が異なると、データの整合性が取れず、業務やレポートに支障が出る原因となりえます。入力ルールや承認フローをきちんと定め、更新履歴を管理できる運用を整えることにより、ミスや混乱なく、属人化を防ぐことにつながります。

ERP導入の全社共有

ERP運用は一部門だけで完結するものではありません。全社的な業務に渡るため、導入目的の事前周知を行いましょう。特に現場部門では実際にシステムの運用を行っていくため、現場の社員への周知が不十分な場合、導入から運用までの協力が得にくく、不満が出やすくなるでしょう。運用の停滞を招かないためにも、プロジェクトの初期から全社への共有をしっかりと行い、関係者を巻き込み、目的とメリットを伝えることが、スムーズな定着につながります。

試験導入でスモールスタート

ERPの基本機能は多岐にわたります。いきなりERPを全社で導入するのではなく、特定部門や一部の機能に限定し試験的に導入を行う「スモールスタート」は、ERP運用を成功に導く有効な手段となります。現場の反応や課題を見ながら改善を重ねることで、本格導入時の混乱や手戻りを防ぐことができます。小さく始めて徐々に業務に浸透させていくことで、コストも最小限に抑えることができるでしょう。

ERP運用のコストを抑えたいならクラウド型がおすすめ

導入・運用コストだけでなく利便性の面でも、クラウド型ERPには多くのメリットがあります。

初期費用と運用コストを抑えられるため

ERPを導入する場合、クラウド型ERPは、自社でサーバーを構築・管理する必要なく導入時の初期投資をオンプレミス型と比較しても大幅に抑えることが可能です。

一方、クラウド型ERPはオンプレミス型ERPと比べて月額のランニングコストがかかるため、両者の見積金額を単純比較するとクラウド型ERPの方が高く見える場合があります。しかし、クラウド型ERPは保守・運用もベンダー側が対応するため、ベンダーへの発注コストと社内のリソース(人件費)も含めた全体のコスト削減が期待できます。

月額課金型で予算も立てやすく、上述のとおりスモールスタートから始め、段階的に拡張することも可能です。中長期的な視点でもクラウド型ERPは、TCO(総保有コスト)の抑制に効果的と言えます。

常に最新の機能を利用できるため

クラウド型ERPは、ベンダー側が機能アップデートを行うため、自社でアップデート作業を行わずとも、常に最新のバージョンを利用することができます。これにより、セキュリティ面の強化や法改正への対応、新機能の追加がタイムリーに反映され、システムの陳腐化を防ぐことができます。またオンプレミス型と違い、自社でアップデート作業を行う必要がなく、社員の負担軽減にもつながります。

社外からもアクセスできるため

クラウド型ERPはインターネット環境があればどこからでもアクセス可能なため、テレワークや出張先でも業務が可能です。場所にとらわれずにデータを確認・入力できることで、意思決定のスピードも向上し、現場の柔軟な対応も可能になります。働き方の多様化が進む中で柔軟な働き方をサポートしながら、業務の効率化と生産性向上を支える重要な要素となります。

 

まとめ

ERPの運用を成功に導くためには、システムだけでなく運用設計や社内体制の整備が欠かせません。こうした運用課題に対して当社では、製造業特化型 Infor ERPクラウドソリューション導⼊サービスで、導入支援から運用・定着化までを一貫してサポートしています。ERPを“使える資産”に変えたいという方は、まずはお気軽にご相談ください。

 

  • 記載の製品ならびにサービス名および会社名などは、それぞれ各社の商標または登録商標です。
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  • KCCSは京セラコミュニケーションシステムの略称です。

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