日本国内における物流パレットの使用量は年々増加してきています。

本記事では物流業界におけるパレットの管理方法とその重要性について解説します。

パレットとは？

近年、グローバル化の進展とオンラインショッピングの普及などによる国内消費の活性化により、物流需要が加速しています。それに伴い物流の効率化が求められるようになりました。商品の輸送と保管に利用される物流パレットは、輸送の効率を大幅に向上させることから、その重要性が高まっています。

また、環境への配慮からリサイクル可能な材質のパレットへの関心も高まっており、サステナブルな物流システム構築への意識が、パレット使用量の増加に一役買っています。しかし、このような背景の中、物流パレットの紛失や滞留の問題は企業にとって重要な課題となっています。紛失・滞留によるコスト増加やサプライチェーンの遅延は、物流の効率化を目指す上で大きな障害となってきているのです。

パレットの種類

パレットには利用する目的に合わせて、さまざまな形状・素材のパレットがあります。木製平パレット、プラスチック製平パレット、ボックスパレット、ロールボックスパレットなど、その利用目的によって使い分けられています。一般社団法人日本パレット協会によると、2022年度の国内パレット出荷額は木製パレットとプラスチックパレットで約82％を占めています。

出典　一般社団法人　日本パレット協会 調査　2023年度発表より

パレットの紛失・滞留問題

パレットが集中する物流センターや倉庫には日々多くの商品がパレットに積まれて搬入され、すぐにさまざまな拠点に搬出されていきます。目的地まで到着したパレットについて、回収する運用ルールが明確でない場合やコストや労力の面から、すぐに回収ができないケースがあります。また、物流業界ではパレットの持ち主を意識せず、その場にあるものを使う、という昔からの慣習があり、この慣習により誤って他社に利用されてしまうこともあります。
パレットは年間で約30万枚紛失しており、十数億円の損失を計上していると推測されています。 
参考：物流ウィークリー

プラスチック製平パレットは種類にもよりますが、一般的に（数千円～数万円）の購入費用がかかります。仮に1枚4,000円として10,000枚のパレットを利用している会社で紛失率が20%の場合、年間で2,000枚が紛失となり、補充のために年間で800万円の費用が必要になってきます。また、紛失まではいかなくともどこかの物流拠点で空のまま滞留し続けているパレットがあった場合、稼働できるパレットが減少し、紛失同様に追加でパレットを購入する必要性がで出てきます。

物流の効率化を目指す上で、パレットの紛失・滞留を抑制することは重要な課題となっています。

パレット管理の重要性

このようなパレットの紛失・滞留を抑制していくためには、パレットを適切に管理することが必要となりますが、人の手でエクセル等を利用してパレット自体の行き先や返却日などを記録して管理をすることは非常に労力が必要です。
多くのパレットを日々管理することが必要なため、記入遅れや記入漏れなどが発生すると効率的な管理が困難です。そのため、今日ではさまざまなパレット管理システムが提供されています。

パレット管理システムは、パレットの在庫管理だけでなく移動履歴の管理、保守作業のスケジュール管理などを効率化することができ、コスト削減や作業効率の向上が見込めるため、パレット管理システムの導入数が増えています。
また、パレット管理システムによってはパレットの追跡や監視（トラッキング）も可能になり、不正使用や紛失のリスクを低減することができるものもあります。

パレット管理システム

パレット管理システムにはトラッキングに利用する手法によって以下のような種類があります。     

・バーコードを用いた管理
バーコードなどの2次元コードをパレットに貼り付け、スキャナーで読み込みを行い、パレット管理を行う方法です。コードシールプリンターとスキャナーがあれば始められ、低コストでパレット管理を行うことができます。

・RFIDを用いた管理
RFIDとはICチップを搭載したタグをリーダで読み取ることで情報を取得できる技術です。

バーコードのように一つ一つ読み込みをすることなく、物流拠点や工場のゲートを通過するだけで電波を読み取りパレットを管理することができます。

・位置情報を用いた管理
GPS、Wi-Fi、Sigfoxなどの技術を利用し、位置情報を取得できるIoTデバイスをパレットに取り付け、パレットの位置情報を定期的に収集・管理する方法です。今まで可視化できなかったパレットの移動傾向はもちろん、輸送ルートから外れたパレットの紛失や滞留の抑制にも役立ちます。

まとめ

物流を効率化するための課題は多岐にわたりますが、パレット管理システムはその解決の一つとして非常に重要です。正確な追跡と効率的な回収を可能にすることで、パレットの紛失・滞留を大幅に減少させ、物流コストの削減に直結します。

グローバル化が進む中で、物流の効率化は企業競争力の向上に不可欠です。日本国内の物流を支えるパレット管理システムのさらなる充実が求められています。

KCCSマーケティング編集部

京セラコミュニケーションシステム株式会社（KCCS）のマーケティング編集部より、製品およびサービスに関連する有益な情報をお届けいたします。お客様にとって価値ある情報を提供することを目指します。