ERPとBPRの関係を徹底解説|業務改革を成功させる5ステップ

企業の競争力強化の重要なカギとなるBPR(業務改革)。その実現にはERPの活用が欠かせず、両者は高い親和性を持ちます。一方で「ERP導入だけで十分」と考えると、現場に合わず失敗するケースも少なくありません。本記事では、BPRの基本や業務改善との違い、ERPとBPRの関係性を整理し、業務改革を成功に導く5つのステップをわかりやすく解説します。
目次
BPR(業務改革)とは何か?
BPRとは、業務の流れや仕組みを根本から見直し、効率と成果を高める業務改革の手法を指します。従来のやり方を単に改善するのではなく、業務プロセスそのものを再設計する点が特徴です。
BPRが注目されている理由
近年、働き方改革や人手不足、競争環境の変化やITの進化により、従来の業務プロセスでは変化に対応できなくなってきています。部分的な業務改善では限界があり、抜本的な業務改革が求められるようになりました。BPRを実施することでコスト削減や業務効率化、スピード向上による顧客満足度アップなど、持続的な成長につながる効果が期待され、注目を集めています。
BPRと業務改善との決定的な違い
BPRとよく似た言葉で業務改善があります。両者の決定的な違いは、改善対象の範囲と目的にあります。
業務改善 |
既存業務プロセスの一部を効率化し、日々の業務を改善する取り組み。小さな無駄の削減や手順の最適化が中心です。 |
BPR | 業務プロセス全体を抜本的に見直し、ゼロベースで再設計する取り組み。システム導入や組織改革とも連動し、コスト削減・業務効率化・生産性向上など大きな効果を狙います。 |
つまり、業務改善が「部分最適」を目的とするのに対し、BPRは「全体最適」によって企業変革を実現する点が決定的な違いです。
ERPとBPRの関係とは?違いや成功ポイントを徹底解説
ERPとBPRの関係は切り離せません。BPRの本質である業務プロセスの抜本的見直しはERP導入の目的とも一致します。両者を組み合わせることで、データ一元化と部門間の標準化が進み、コスト削減・業務効率化・意思決定の迅速化を同時に実現できます。
ERPとは?業務改革に不可欠な理由
ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業内の財務・人事・在庫・生産といった情報を統合的に管理するシステムです。部門ごとに分散していたデータを一つにまとめることで、情報のばらつきを防ぎ、迅速かつ正しい意思決定を実現します。さらにBPRと組み合わせることで、従来の非効率な業務プロセスを解消し、組織全体の生産性向上につなげることができます。
ERPはBPRの成果を最大化する仕組み
ERPを活用することで、BPRで設計した理想的な業務プロセスを実現させる可能性が高まります。手作業や分断された非効率的なシステムでは、BPRで設計した業務フローも、十分な効果を発揮できません。ERPは業務プロセス全体を統合的に一元管理し、リアルタイムで情報を共有できる環境を提供します。その結果、業務の効率化、ミスの削減、迅速な意思決定が可能となり、BPRの成果を確実に最大化できます。
BPRを意識しないERP導入が失敗する理由
ERPは業務プロセスを一元管理し、BPRで設計された新しい業務フローを効率的に運用するための基盤となります。BPRを意識せずERPを導入すると、期待する効果が十分に得られず、失敗のリスクが高まるため注意が必要です。ERP導入の成功には、業務全体を見直す視点が重要です。
既存業務プロセスをERPにそのまま載せてしまう
ERP導入でありがちな失敗の一つが、既存業務を十分に見直さずそのまま新しいシステムに移行してしまうことです。従来の手作業や二重入力など非効率的なプロセスをそのままERPに反映すると、業務効率化やミスが減らず、非効率を温存したままだと、費用対効果は伸びず、期待成果も得られません。まずはAs-Isの徹底棚卸しとTo-Be設計を行い、移行前にムダ・待ち・手戻りを解消しましょう。
要件定義が曖昧なまま進めてしまう
ERPの導入を成功させるためには、業務改革を前提とした明確な要件定義が不可欠です。要件定義によって具体的な業務フローや改善目標を明確にしないと、システムに反映すべき機能やプロセスが不明確になるためです。不十分な要件定義は、ERP導入の失敗につながる大きな要因となります。
想定以上のコストがかかる
BPRを考慮せずにERP導入を進めると、追加開発やカスタマイズ、運用後の手直しなど想定以上のコストが発生する場合があります。非効率な業務プロセスや不整合が残ったままシステム化すると、結果としてERP導入の費用対効果が下がり、ERP導入を通じて期待していた目標を達成できないことがあります。
ERPでBPRを成功させる5つのステップ
実際のERP×BPRの成功事例からも分かるように、ERPとBPRを組み合わせた業務改革を成功させるには、明確な手順に沿って導入を進めることが重要です。以下では、導入から運用までの5つのステップを解説します。
Step1:経営層を巻き込んだ目的とビジョンの共有
ERP導入とBPRを成功させる第一歩は、経営層まで巻き込み目的やビジョンを明確に共有することです。経営数値目標や期待する成果が現場に伝わることで、部門間で共通理解が生まれ、プロジェクトの推進力が向上します。経営層の積極的な関与は、BPRを伴うERP導入の土台となります。経営会議アジェンダ化(隔週・KPI連動)など、継続的コミットの仕組み化まで決めておきましょう。
Step2:現状業務の可視化と理想像(To-Be)の設計
次に、現状業務(As-Is)をRACIやSIPOCで可視化し、ムダ・待ち・手戻りを定量把握したうえで理想的な業務プロセス(To-Be)を設計します。全業務フローを明確にし、非効率を洗い出してから、必要な改善点を要件定義へ落とし込みます。
Step3:部門横断での業務再設計と合意形成
業務の再設計では、部門横断的な合意形成が不可欠です。部門ごとに異なるプロセスを統合せずに進めると、システム導入後に現場の混乱や不具合が生じるリスクがあります。異なる部門が協力して新しい業務フローを設計することで、情報共有や作業効率が向上するでしょう。部門間で合意を得ながら進めることで、ERP導入の成功確率が高まります。
Step4:ベンダー選定と導入準備
ERP導入プロジェクトの成否は、最適なベンダー選定と導入準備に大きく左右されます。システムのカスタマイズやサポート体制が不十分だと、現場にとって使い勝手が悪く改革効果が低下します。業務の整理やフローに沿った設定やマニュアル整備を提供できるベンダーを選ぶことで、現場の混乱を防ぎ、スムーズに運用を開始できます。
Step5:効果測定に基づく運用改善と定着化の促進
最後に、導入後の効果測定と運用改善、定着化の促進が重要です。システム導入だけでは改革効果が持続せず、現場が従来のやり方に戻ってしまうことがあります。例えば、リードタイム、一次入力率、二重入力件数、承認滞留時間、在庫回転日数などKPIをダッシュボード化し、月次で是正→四半期で標準化まで回すことで、改善点を迅速に修正できるでしょう。運用改善と定着化の仕組みを組み込むことで、ERP×BPRの成果を最大化できます。
ERPとBPRのシナジーで得られる効果
ERPとBPRを組み合わせることで、単なるシステム導入では得られない業務効率化や意思決定の迅速化、コスト削減など、多くの効果が実現できます。両者の実現は、業務プロセスの抜本的な改善と持続的な成長を両立させるための重要な要素です。
業務の属人化を排除し、業務効率化を実現
ERPとBPRの組み合わせにより、特定の社員に依存していた業務を標準化し、ERP上で統一されたプロセスを管理することで、誰でも同じ手順で作業できるようになり、作業時間の短縮やミス削減につながります。
データ活用による意思決定の迅速化
ERPによるデータ一元化とBPRによる業務再設計を組み合わせることで、リアルタイムの情報をもとに迅速な意思決定が可能になります。例えば、販売状況や在庫情報を即座に確認できることで、発注や生産計画の調整を迅速に行えるでしょう。ERPとBPRによって、経営判断のスピードと正確性は飛躍的に向上します。
コスト削減と持続的な成長の両立
ERPとBPRを活用することで、コスト削減と生産性向上を同時に実現できます。不要な作業や重複プロセスを排除しつつ、ERPで最適化された業務フローを運用することで、コスト削減と効率化を両立しながら、新しいビジネス機会への対応力も高められます。
ERP×BPRを成功に導くチェックリスト【導入前後で確認すべきポイント】
ERPとBPRを活用した業務改革を成功させるためには、導入前後のチェックポイントを明確にすることが重要です。以下の項目を確認することで、導入効果を最大化できます。
As-Is/To-Beの分析は十分か
まずは、現状業務(As-Is)と理想業務(To-Be)の分析が十分であるかを必ず確認しましょう。事前の業務分析が不十分だと、ERP導入後にBPRの改善効果が十分に発揮されません。業務プロセスや改善目標を具体化し、要件定義をしっかり行うことが成功のポイントです。
KPI設定とモニタリング体制を整えているか
次に、業務改善の効果を持続させるために、KPI(重要業績評価指標)の設定とモニタリング体制が整っているかを確認しましょう。定期的な確認により、改善状況の把握や課題への対応が可能になります。
ERP導入の成功は「BPRとの両輪」で決まる
ERPを導入するだけでは、業務改革に十分な効果は得られません。BPRと連動させることでシステム導入による業務改革が成功しやすくなり、持続的な成長につながります。
ERP導入のゴールはシステム刷新ではなく「業務改革」
ERPの導入は、単にシステムを新しくすることが目的ではありません。真のゴールは、業務プロセスを抜本的に見直し、効率化や品質向上を実現することです。システム刷新のみを目的にすると効果が限定的になり、改善のチャンスを逃してしまいます。ERPを業務改革の手段と位置づけることで、投資対効果を最大限に高めることができるでしょう。
信頼できるパートナー選びが重要
ERPとBPRを成功に導くには、信頼できる外部パートナーの存在が不可欠です。豊富な導入実績や業務知識を持つベンダーなら、課題整理からシステム設計、運用改善まで一貫した支援を提供できるでしょう。自社の業務に精通し、長期的に伴走してくれるパートナーを選ぶことで、導入によるリスクを最小化し成功確率を高められます。
KCCSがERP×BPRの両面から業務改革をサポート
KCCSは、ERP導入だけでなくBPRの推進支援にも強みを持っています。業務改革の目的設定からプロセスの設計、ERPの選定・導入、さらに定着化までを一気通貫でサポートするため、初めてのERP導入やBPR実施を行う場合にもおすすめです。システムと業務改革の両輪を支えることで、企業の競争力を高め、持続的な成長をサポートします。
まとめ
ERPとBPRは、組み合わせることで業務プロセスを抜本的に改革し、業務の効率化と成長を同時に実現できます。中小企業から大企業まで幅広い企業にとって、経営資源を最大限に活かす手段としてERPとBPRの連携は欠かせません。KCCSが提供するInfor製品は、ERPとBPRの推進を強力にサポートする仕組みを備えています。信頼できるパートナーとともにERP×BPRを進めることで、持続的な成長基盤を築くことができるでしょう。

KCCSマーケティング編集部
京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)のマーケティング編集部より、製品およびサービスに関連する有益な情報をお届けいたします。お客様にとって価値ある情報を提供することを目指します。
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