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図書館資料の相互貸借とは? 図書館をもっと便利に

図書館資料の相互貸借とは? 図書館をもっと便利に

公共図書館の相互貸借制度について解説します。制度を知ると図書館活用の幅が広がります。

 

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目次


図書館の相互貸借とは

図書館の相互貸借制度とは、図書館法に規定された自治体間の図書館で互いに所蔵する図
書や雑誌などの資料を貸し借りする制度です。通常、利用者は居住する自治体の図書館の
資料を閲覧・貸出することができますが、絶版や品切れなどの理由で資料が無くても、相
互貸借を利用することで他の自治体に資料があれば、居住する自治体の図書館に取り寄せ
し閲覧・貸出を受けることができます。これにより、利用者はより多くの資料に触れるこ
とができるようになります。

参考:図書館法 第 3 条 第4号

相互貸借のメリット・デメリット

相互貸借のメリット

公共図書館の相互貸借には以下のようなメリットがあります。

 

資料の入手範囲の拡大
相互貸借を利用することで、利用者が居住する自治体の図書館に所蔵されていない資料も利用が可能になり、利用者サービスの向上に貢献します。

利便性の向上
利用者は、遠方の図書館に出向かずとも、近くの図書館から必要な資料を入手できます。
これにより、時間と労力の節約につながります。

コストの軽減
図書館は限られた予算内で最大限のコレクションを提供する必要があります。相互貸借を
利用することで、高価な資料や利用頻度が低いと予想される資料を購入する代わりに、必
要に応じて他館から借りることができます。これにより、予算をより効率的に使用し、よ
り多くの資料やサービスに資金を割り当てることが可能になります。

相互貸借のデメリット

一方、以下のようなデメリットもあります。


返却の遅延や紛失・損傷のリスク
相互貸借は図書館間での信頼関係に基づいて実施されています。資料の返却の遅延や、紛失・損傷をしてしまった場合、信頼関係が損なわれ、利用制限を考えなければならないことがあります。


需要と供給のバランス
図書館間での相互貸借は、需要と供給のバランスが取れていない場合、図書館がリクエストに対応できないという問題が生じることがあります。これにより、利用者が必要なタイミングで資料を入手できない可能性があります。また、貸出側の図書館が特定の分野の資料を多く所蔵している場合、その分野の資料の貸出が集中することがあります。これらの問題を緩和するために、貸出可能な資料の種類や数量を制限する、貸出期間を短くするなどの措置を検討されています。


手続きの複雑さ
相互貸借には手続き、管理が必要になり、資料の追跡、貸出状況の更新、送料や手数料の費用計算など、図書館スタッフに追加の労力とリソースが必要になります。また、図書館間での手続きの統一や合意が取れていない場合、利用者や図書館スタッフにとって煩雑さが生じることがあります。


相互貸借は図書館の信頼関係・協力体制の下で成り立ち、利用者にとって非常に有意義な制度です。利用者の利便性の向上に貢献するため、各図書館はそれぞれで工夫しながら対応されています。

本が並んでいる様子をイメージした画像

相互貸借の仕組み

各図書館相互の流れ

公共図書館間での貸し借りの具体的な仕組みは、自治体によって異なる場合もありますが、一般的な流れは以下の通りです。

 

  1. 利用者が在住する自治体の図書館で貸出希望の本を申し込む。
  2. 貸出希望の本が利用できない場合、他の自治体の図書館に貸出依頼が行われる。
  3. 貸出依頼が受領され、貸出希望の本の状況などを確認、調整を行う
  4. 貸出準備を整えたのちに申し込んだ図書館に資料が送られ、利用者に貸出される。
  5. 貸出期間が終了したら、利用者は貸出した図書館に本を返却する。

 

これにより、利用者は他の自治体の図書館の資料を利用することができます。

また、公共図書館の相互貸借は都道府県単位などでルールを定められていることが多く、利用する方法は、各自治体によって異なっています。

参考:さいたま市図書館 相互貸借・図書館間相互協力

 

まずは利用者が在住する自治体の図書館カウンターやウェブサイトで相互貸借の手続き方
法を確認しましょう。

まとめ

図書館の相互貸借は、その便益と価値をより多くの人々に提供するために技術革新やサービスの拡充が不可欠です。デジタル化、グローバル化、AI の活用など、さまざまな要素が結集して、より魅力的で効果的なサービスになることを期待しています。