KYOCERA 京セラコミュニケーションシステム株式会社

公共図書館におけるオーディオブック利用 ~魅力ある図書館づくりの一助に~

公共図書館におけるオーディオブック利用 ~魅力ある図書館づくりの一助に~

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目次


 

新たな読書スタイルの広まり

現在は紙の本だけでなく、電子書籍やオーディオブックといった新しい読書スタイルが普及しています。特にオーディオブックの普及により、従来の「目で読む読書」から「耳で聴く読書」へと、読書スタイルが大きく変化しました。通勤時間や運動中、家事や料理の合間など、「すきま時間」に読書を楽しむことができ、紙の本よりも早く読めるようになったと言われています。また、2019年6月に制定された「読書バリアフリー法」により、オーディオブックはさらに重要性を増しています。オーディオブックを聞いている人のイラスト

 

京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)は、この環境の変化にこたえるため、2020年2月より公共図書館向けに「オーディオブック配信サービス」の提供を開始しています。

 

読書バリアフリー法

正式名称:「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」

障害の有無に関わらず、すべての人が読書による文字・活字文化の恩恵を受けられるようにするための法律です。さまざまな障害のある方が、利用しやすい形式で本の内容にアクセスできるようにすることを目指しています。

 

公共図書館のオーディオブック導入の現状

KCCSが提供する「オーディオブック配信サービス」※1は、全国の公共図書館で導入が進んでおり、2024年4月現在で18地方公共団体の90館※2で利用されています。このサービスは主に読み放題方式を採用しており、2020年のサービス開始時には3,000タイトルが提供されていましたが、現在は7,400以上のタイトルが読み放題です。

提供中のタイトルには、文芸や落語などさまざまなジャンルが含まれており、豊富な選択肢から「耳で聞く読書」をお楽しみいただけます。

 

※1 京セラコミュニケーションシステム株式会社は株式会社オトバンクと提携し様々なジャンルのオーディオブックを提供しています。

※2 導入実績の詳細は製品・サービスページよりご確認いただけます。

 

 

「オーディオブック配信サービス」提供コンテンツ

オーディオブック配信サービス提供コンテンツジャンル別割合の図

オーディオブックの導入にあたってのお悩み

オーディオブック配信サービスを導入いただくにあたって、どのようなお悩みや検討事項があるのかをご紹介いたします。

オーディオブックの予算科目

導入前、オーディオブックの費用を「図書購入費」として扱うか、「システム費」として扱うかという悩みをよくお伺いします。オーディオブックは比較的新しいサービスであり、どちらの予算科目に分類すべきかについての明確なルールはまだ確立されていません。このため、各地方公共団体でご判断いただき、決定いただいています。

 

KCCSの「オーディオブック配信サービス」は、読み放題方式を主に採用しており、システム利用料とコンテンツ利用料が統合された料金体系です。このため、「システム費」として取り扱われる地方公共団体の割合が多くなっています。

 

一方、読み放題ではなく個別にタイトルを購入する形式もあります。この場合は、購入するオーディオブックごとに価格が設定されており、「図書購入費」として扱われる地方公共団体の割合が多くなっています。

 

上記の情報もご参考にしていただきながら、各地方公共団体でご判断をいただければと思います。

オーディオブックの利用促進

オーディオブック導入後のお悩みとして、「多くの配信タイトルを有していても、図書館利用者に十分知られていないため、オーディオブックの利用率がなかなか伸びない」という話をよくお伺いします。
このお悩みに対して、KCCSではオーディオブック配信サービスを導入いただいた図書館へ、紹介パンフレット等を配布する取り組みを本年春から開始いたしました。
パンフレットを印刷いただき、図書館や公共施設に配置いただく、図書館のサイトに掲載するなど、様々な形でご活用いただければと思います。

 

サービス開始時配布用パンフレット

「オーディオブック」と聞いても、図書館利用者は、具体的にどのように利用すれば良いのか分からないというお声を伺います。サービス開始時には、オーディオブックのご紹介とともに、操作イメージ、お勧めのタイトルをご紹介するパンフレットをご提供しています。

 

サービス開始時配布用パンフレットイメージ

 

季節ごとのおすすめタイトルをご紹介するパンフレット

読み放題で多くのタイトルが利用できるけれど、どんなタイトルがあるのか分からないというご意見を伺います。KCCSでは、季節ごとに、子ども向け、ビジネス向け、一般向けとそれぞれにおすすめタイトルをご紹介するパンフレットを配布しております。公共図書館の方がご記入できるスペースもご用意しており、オリジナルのメッセージなども記載いただけます。

 

季節ごとのおすすめタイトルをご紹介するパンフレットイメージ

資料ダウンロード

魅力ある図書館づくりの一助に

読書人口の減少が叫ばれる中、コロナ禍においては、読書が増加したという調査結果も多く見られます。また、この時期は電子書籍やオーディオブックの売り上げが増加しています。さらに、SNSからの情報発信により、本との新しい出会いが生まれ、読書会や交流がSNS上で活発に行われるようになりました。これらの変化は、コロナ禍を経て、私たちの読書環境が変化し続けているかを示しています。

 

このような状況を踏まえ、KCCSは「変わっていくもの」と「変わらないもの」の2つの側面から、読書環境づくりの一助となるよう取り組んでいます。

変わっていくもの

私たちの取り組みとして、今後ますます加速していく「図書館DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進があります。その1つに、オーディオブックでの新たな取り組みとしてスマートスピーカーとの連携があります。従来、PCやスマートフォンを介して画面操作を必要としていたオーディオブックの利用を、スマートスピーカーを通じて声のみで操作可能にすることで、より多くの人々が気軽にオーディオブックを楽しめる環境の提供を目指します。このような最新のテクノロジーを活用して、図書館のDXを推進していきます。

変わらないもの

一方で、私たちが大切にしているのは「本との出会いの創出」です。情報が溢れる現代社会において、どの情報を選び取り、どう活用するかがますます重要になっています。読書は、さまざまな知識に触れ、想像力や読解力を育み、深い考察と本質的な理解を促進する手段として、その重要性が再認識されています。しかし、多くの書籍の中から、自身の知らない分野の魅力ある本と出会うことは容易ではありません。KCCSは、これまで特にシステムの領域で、図書館様をご支援してまいりましたが、おすすめのタイトルを提案するツールの提供など、魅力ある図書館づくりには何が必要なのかを念頭に、システムの領域に留まることなく、図書館様をご支援してまいります。


これらの取り組みを通じて、KCCSはオーディオブックという新たな領域を含め、魅力ある図書館づくりを目指し、総ての人が読書を楽しめる社会の実現に向けて取り組んでまいります。

 

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