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NEXT GIGAとは?学校教育におけるICT活用の新たなステップと図書館の役割

NEXT GIGAとは?学校教育におけるICT活用の新たなステップと図書館の役割

NEXT GIGAは、GIGAスクール構想の次なるステップとして発足しました。本コラムでは、NEXT GIGAの取り組みと図書館職員の役割について詳しく解説します。

 

 

目次


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GIGAスクール構想とは?現在の状況について

文部科学省が2019年に発表した「GIGAスクール構想」は、日本の学校におけるICT(情報通信技術)環境の整備と活用を進める教育改革です。この構想は、次世代社会「Society 5.0※1」に対応できる児童生徒を育成する学びの場を創出し、未来を担う世代に対して、一人ひとりに最適化された教育環境を提供することを目的としています。

 

GIGAスクール構想は以下の3つの側面から、全国の学校教育のICT化を進めています。

ハード

児童生徒1人1台の学習端末配備と学校内の高速ネットワーク環境整備

ソフト デジタル教材や学習アプリ、オンライン学習の活用・充実化
指導体制 ICT支援員や教育アドバイザーによる日常的なICTの活用をサポートする体制の構築

 

この構想は、単なる「端末の配布」にとどまらず、教育現場全体のデジタルトランスフォーメーション(教育DX)を促進する重要な改革です。特に、令和3年1月に発表された「令和の日本型学校教育」において求められる「個別最適化された学び」と「協働的な学び」の両立をサポートし、学びの多様化を実現します。GIGAスクール構想により、生徒一人ひとりの特性に合わせた学習が可能になり、ICTを活用した協働学習が導入されていきます。

他にも、教室の枠組みを超えて、学校図書館や家庭でも学びが広がる環境が整いつつあり、図書館職員や司書の支援役割がますます重要になっています。

 

【参考】「令和の日本型学校教育」の構築を目指して ~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)【概要】(中央教育審議会)ext_link

 

※1 Society 5.0とは?
Society 5.0とは、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会です。「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」としてSociety 5.0が提唱されました。
【出典】Society 5.0 (内閣府)ext_link

NEXT GIGAとは?

NEXT GIGAは、GIGAスクール構想第2期とも呼ばれ、GIGAスクール構想第1期で明らかになった課題への解決に取り組んでいます。具体的には、端末の老朽化や地域間のICT活用格差といった問題が挙げられ、これらを解消し、教育の質をさらに向上させることを目的としています。

2.1 学習用端末のリプレイス更新

壊れたパソコンの画像GIGAスクール構想第1期では、2020年度から学習端末が配布されましたが、ほとんどが2024年度以降に耐用年数を迎えます。これに伴い、NEXT GIGAでは新たな端末へのリプレイスが進められています。加えて、端末が故障したときも学びを止めないという視点から予備機の整備も進行中です。

2.2 地域間におけるICT活用格差の解消

使い方に困っている子供たちの画像GIGAスクール構想第1期にてすべての児童・生徒に端末が配布されましたが、その活用には地域間で差が見られます。NEXT GIGAでは、この格差を解消するために、以下のような支援が進められています。

広域連携の枠組みである「協議会」の設置

協議会は、都道府県を中心に設置され、地域内すべての自治体がICT活用を推進する体制を強化し、「試行錯誤」から「日常化」に移行できるよう支援する役割を担います。

GIGAスクール運営支援センターの設立

GIGAスクール運営支援センターでは、端末活用の「日常化」を支える支援基盤として、ヘルプデスクなどを通してネットワークをはじめとしたさまざまなトラブルへの対応や支援人材の育成をサポートします。

ネットワークアセスメントによる校内通信環境の改善

ネットワークアセスメントでは、ネットワークの遅延や不具合が自治体間格差の解消における最大の阻害要因のひとつとして、現状のネットワークを分析し、課題・改善を提示することで、最適な通信ネットワーク環境の実現を目指します。

 

【参考】令和6年度文部科学関係概算要求のポイント等(文部科学省)ext_link

2.3 端末の利活用のさらなる促進

ひらめく子供の画像NEXT GIGAでは、端末をさらなる効果的な活用を進めるため、以下のような支援策が強化されています。

学びの個別最適化

学びの個別最適化では、子供の特性や学習進度、興味関心など、一人ひとりの理解度に応じて柔軟な学習指導と教材の提供を行います。これにより、個々の事情に左右されることのない、かつ児童生徒の主体性を育むような学びの実現を目指します。

探究学習※2やSTEAM教育※3の導入

ICTを活用することで、グループワークや協働学習を行いやすくなり、またオンラインツールによってアクセスできる情報の選択肢が増えることで学習の幅を広げることができます。

教員やICT支援員の研修拡充

ICTの活用を通じて、学習履歴や生徒指導上のデータをもとにそれぞれの生徒に合った指導と支援を調整することができ、また教師の負担を軽減します。教師が必要な能力を身に付けられる環境の実現とICT活用指導力の養成を行います。これにより、Society 5.0時代にふさわしい学校の実現を目指します。

 

※2 探究学習とは?

探究学習とは、生徒が自ら課題を設定し、その課題に対して自分で情報の収集・整理を行い、周囲と協力しながら意見交換・解決策の模索を行う学習です。これにより、予測不能な問題に対応できる能力を養うことを目的としています。

※3 STEAM教育とは?

STEAM教育とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)の5つの分野をそれぞれ単独ではなく、統合的に学ぶ教育のことで、各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくことを目的としています。

NEXT GIGAと図書館の連携

NEXT GIGAの進展により、学びの場は教室を越えて広がり、学校図書館や公共図書館が、調べ学習や探究学習を支援する重要な拠点としての役割を担うようになっています。図書館は、学習の個別最適化やICT活用をサポートする重要な場所です。

 

学校図書館は、紙の本だけでなく、デジタルコンテンツや電子書籍、さらにはICTツールの活用方法を提供する役割を担っています。

特に、個別最適化学習や探求学習、STEAM学習の普及が進む中で、児童生徒が自ら情報を収集・整理し、発信する能力が求められています。

ELCIELO for Schoolのサービスについて

ELCIELO for Schoolは、当社が提供する学校向け図書館システムで、NEXT GIGA時代の教育におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援します。

紙の本に加えて、電子書籍やオーディオブックといった多様な形式に対応し、単元に関連する書籍の検索や生成AIを活用した探索機能を通じて、子供たちの興味・関心に寄り添った読書体験を提供しています。さらに、バーチャル図書館の活用など、より豊かな読書体験を実現するための機能も今後実装を予定しています。

また、公共図書館との連携により、学校図書館の枠を超えた蔵書へのアクセスが可能となり、子供たちの学びの機会をさらに広げます。

まとめ

GIGAスクール構想は、単なる端末の配布を超えて、NEXT GIGAとしてICTを活用した学びを提供し、子どもたち一人ひとりに合った学びを提供する取り組みへと進化しました。変化する教育体制に合わせて、学校図書館にはICTツールを活用し、学びを支援する新たな役割が求められています。

 

 

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