図書館DX(デジタルトランスフォーメーション)は、図書館運営の効率化や利用者体験の向上を目指す重要な取り組みです。本コラムでは、当社の具体的な取り組み事例を交え、図書館でのデジタル技術の活用方法についてご紹介します。
当社では、「図書館をより便利に」をコンセプトに、図書館サービスの向上、図書館運営の効率化、SDGsについて先端技術を活用し取り組んできました。
過去6年間の取り組みのうち、赤字で示している部分は導入実績があるものです。こうした取り組みは、徐々にメディアや業界内で取り上げていただけるようになり、各種アワードを受賞するにいたりました。
図書館のデジタル活用について、現在、当社では新たに「創造支援DX」、「視覚支援DX」、「ロボティクスDX」、「SDGs・アクセシビリティDX」の4つを軸とし、より発展的な取り組みを推進しています。
上記の取り組みを順番にご紹介します。
「創造支援DX」では、生成AIを活用した図書館システムにより、選書やレファレンス業務を補助し図書館職員の業務時間を削減します。また、利用者目線では検索の補助などを行い、利便性向上を支援します。
当社では、以下のようなプロセスで図書館システムに生成AIを活用しています。
このプロセスのポイントは、初めからAIに全てを委ねるのではなく、図書館システムのデータベース(事実)に基づく情報を経由してAIの回答に根拠づけをし、あいまいさを取り除くことです。
このような生成AIの仕組みを活用した具体例な例としては、2024年5月より久喜市様で開始している実証実験があります。蔵書検索のOPAC画面で、本の題名が分からない時や、興味のあるテーマで書籍を探したいときなどに、AIで検索を支援する機能です。
関連記事:埼玉県久喜市立図書館、生成AI蔵書検索システムの実証実験を開始
更に、覚え違いタイトルのサポートも可能になります。利用者が「白い馬のホース」と間違ったタイトルを入力し、一致する書籍がない場合でもAIがその間違いを推測し、「スーホの白い馬」を提案してくれるようになる機能です。これらの機能は、利用者の利便性向上や、図書館職員様の業務負荷軽減に繋がると考えています。
現在、自動撮影・蔵書点検ロボットは実用化を視野に課題解決を進めています。最新の実証実験では、人による蔵書点検で60分かかっていたものが3分で完了したという結果も得られています。
さらに、返却本運送ロボットや配架場所案内など、利用者様サービスの向上や図書館職員様の業務負荷軽減の仕組みも検討を進めています。
「視覚支援DX」の取り組みは、主にバーチャル図書館とバーチャル本棚が挙げられます。バーチャル図書館は、ウェブサイトにて図書館内の書架を仮想空間に表示しています。仮想空間の書架をズームし本を選択すれば、書誌情報の確認や、貸出予約なども可能です。
将来的には子供たちがアバターになり、友達と一緒にバーチャル図書館に来館するような使い方も実現できると考えております。
さらに、OPAC内での新たな取り組みとしてバーチャル本棚があります。おすすめリストごとに、専用の背景画像をカスタマイズしたり、装飾やポップをスタンプのように貼り付けることで、Web上に展示コーナーを再現することができます。物理的な本は必要なくなるので、展示上の見た目も変わらず、この画面から書誌情報の確認や予約も可能になります。この機能は、当社図書館システムELCIELOの今秋バージョンアップで実装予定です。
障害者も含めた「誰もが使える図書館」の実現に向け、当社ではいち早くオーディオブックを実装し、積極的な取り組みを行っています。
関連記事:オーディオブックは気軽に『聴けるコンテンツ』新しい図書館の利用法の提案
電子コンテンツ、図書館システム、蔵書管理を掛け合わせた新たなサービスを提供し、紙と電子のベストミックスを目指しています。
当社のOPACは、大人とこども用のUIを利用者が選択できるようにしたり、入力機能を漢字とひらがなで切り替えができるなど、すべての人が利用しやすいようにアップデートをしてきました。今春より、NHKの「みんなのうた」のイラストやBook Meets Next2023「本の日」記念ブックカバー大賞を受賞されたクリエイターの斉藤みおさんのデサインをOPACに採用し、デザインを刷新しました。すべての利用者に視覚的にも分かりやすく、親しみやすいデザインを目指しています。
これまで述べた4つの図書館DXを実践することにより、それぞれ以下のことが実現できると考えております。
今後も、各省庁の方針を考慮しながら図書館DXを実践し、本・読書を通じて「生涯学習・社会教育」を変革し、社会に貢献していきたいと考えています。