奈良市立図書館 公共図書館システム「ELCIELO」

図書館システムリプレースを機に、
利用者体験を刷新するICTサービスを次々と

柔軟性に富んだシステム「ELCIELO」と交付金採択サポートで
書架案内ロボットなどの新サービスを導入し、図書館DXを実現へ

奈良市立図書館様

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選定ポイント 選定ポイント

  • 柔軟なシステムと先進的な取り組みによる課題解決と新しい図書館像の構想力

  • 図書館司書資格を持つ開発担当者など、“ビジョン”を共有できる専門スタッフによる支援体制と手厚い交付金採択サポート

導入の効果 導入の効果

  • 「ELCIELO」と新サービス導入で、利便性とイメージが向上し新規利用者が増加

  • 当社の手厚いサポートを受け交付金申請が採択。新しい他社製品とも柔軟に連携

導入したシステム/サービス

公共図書館システム「ELCIELO」

  • 公共図書館システム「ELCIELO」のロゴ
  • 長年にわたり図書館システムを開発運営してきた京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)は、利用者にも図書館スタッフにも快適で使いやすいシステムの構築を開発コンセプトに、2002年にWebアプリケーション型の公共図書館システム「ELCIELO(エルシエロ)」を業界に先駆けリリースしました。業界屈指の高速高度な検索性、システム連携の柔軟性などの特長を有し、毎年バージョンアップを行い、機能追加を実施する「進化する図書館システム」として常に最新機能を提供。「ELCIELO」を導入することで、より多くの地域住民の方々に図書館を身近な存在として感じてもらい、同時に図書館の「楽しさ」を知っていただく。その上で、「来館者数」と「貸出冊数」の向上に貢献することを目指しています。
製品ページ

お客様インタビュー

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    奈良市 教育部 中央図書館

    村田 直史 様

ICT化する図書館を象徴。自走式の「書架案内ロボット」

奈良市様は、市内に3つの図書館を持ち、地域住民の学びと文化活動を支えるためデジタル技術を活用した情報提供など幅広いサービスを提供されています。コロナ禍以降、多様に変化した利用者ニーズを受け、2024年から2025年にかけて、非来館でも貸出図書が受け取れる「図書受取ロッカー」と、来館者を目的の本のある開架書架へ案内する「書架案内ロボット」を内閣府の地方創生推進制度である「デジタル田園都市国家構想交付金」を活用して導入。これらの新しいサービス導入のベースとなった公共図書館システム「ELCIELO」との連携、またKCCSの開発と支援体制について、図書館政策およびシステム全般をご担当の村田直史氏に、KCCS営業担当の内田雄規を交えてお話を伺いました。

奈良市立図書館の本館である中央図書館は、猿沢池に程近い公共コミュニティセンター「奈良市ならまちセンター」にあります。3階の児童開架室と4階の一般開架室の両フロアで利用者を出迎えてくれるのは、公益社団法人奈良市観光協会の公式マスコットキャラクター「しかまろくん」を載せた自走式の「書架案内ロボット」です。

この書架案内ロボットは、KCCSが奈良市立中央図書館様とともに、装置の調達から「ELCIELO」とのシステム連携、テスト走行、運用、保守までトータルに提供する新しいICTサービスです。

「ELCIELO」に連携した館内のパソコンで利用者様が読みたい本を検索し、表示された画面上にある「しかまろくんあんない」のボタンをタッチすると、ロボットが目的の本がある棚まで自律走行して案内してくれます。走行中、ロボットは人や途中の棚をセンサーで感知し、巧みに避けながら最短ルートを通って目的の棚まで連れて行ってくれます。

書架案内ロボット「しかまろくん」©奈良市観光協会

書架案内ロボット「しかまろくん」©奈良市観光協会

お話される村田様

「とくに小学生の低学年の学童さんたちには、“可愛い”とか“面白い”と言って喜んで使っていただいていますね」


そう語るのは、奈良市 教育部 中央図書館の村田直史氏。
村田氏は、このロボットを導入したことで、図書館スタッフの方々の案内業務が軽減された部分も多少はあるものの、むしろ新しい利用者体験によって、図書館に足を運ばれた方に意識の変化が生まれ、図書館とのつながりを深めるきっかけとなっていると感じるそうです。

「子ども読書活動推進計画の取り組みの一つとして実施している図書館見学などで、児童生徒の皆さんに図書館、読書への興味を持ってもらうきっかけとしても役立っています」


小学生の利用者様の中には、リピーターとして来館時にいつも可愛がって使ってくださる方もいるのだとか。


「情報センターと呼ばれながらも実際には紙の本が非常に多くて古いイメージで捉えられがちな図書館ですが、こうしたロボットがいることで、大人の来館者の方には『ICTやDXが進んでいる図書館』という形で見られることになります。有意義な時間を過ごせる場所としての図書館のイメージアップにもつながっています」

通勤通学の途中で本を受け取れる、24時間稼働の「図書受取ロッカー」

図書受取ロッカー(大和西大寺駅)

図書受取ロッカー(近鉄大和西大寺駅)

図書館のICT化は館内だけにとどまりません。ここは奈良市の近鉄「大和西大寺」駅。平日の午前、中央改札口を出て南北自由通路を左に進んだ場所にある奈良市立図書館「図書受取ロッカー」には、貸出図書を返却または受け取りのため、利用者が入れ代わり立ち代わり訪れています。ロッカーの液晶画面に図書館貸出券やスマートフォンの画面をかざして扉を解錠し、中から貸出本が入った予約袋を取り出す。まるで自販機でも扱うような手軽さで本をピックアップし、改札へ急ぐ姿が印象的です。

また、同じ近鉄沿線の「学園前」駅改札口を出てすぐ目の前に建つ西部会館の1階にもロッカーは設置されています。大和西大寺駅の図書受取ロッカーは24時間365日利用可能(注:西部会館のロッカー利用時間は7時~22時)。2024年10月の運用開始からわずか半年あまりで、地域の皆さんの日々の暮らしにすっかりとけ込んでいるようです。


奈良市では、図書館数が3館(中央図書館、西部図書館、北部図書館)と人口規模に対して数が少なく、本の受け渡しスポットが少ない状況にあり、利用者の年代層も高齢の方が多い傾向にありました。通勤通学で平日に図書館に来館しづらい13歳から30歳の方々の利用を高める目的で導入と運用を始めた2つの図書受取ロッカーですが、今や予約が殺到してロッカー空きの順番待ちになるなど、想定を上回る人気となっているようです。

図書受取ロッカー(学園前駅隣接・西部会館)

図書受取ロッカー(近鉄学園前駅隣接・西部会館)

「駅に近いところで本をピックアップできるということで、今まで図書館を利用したことがなく貸出券をお持ちでない方や、長らく利用していなかったけれどロッカーの設置を機会にまた図書館の資料を利用してみようという方などから多数のお問い合わせをいただいています。」
 
非来館で利用できる図書受取ロッカー×「ELCIELO」

 

ロボットやロッカーとの連携、
急な運用変更にも対応する「ELCIELO」の柔軟性と正確性

奈良市立図書館様は書架案内ロボットや図書受取ロッカーをはじめ、電子図書館やオーディオブックといった新しいサービスも次々と取り入れて運営されています。それらの連携のベースとなっているのが、2020年1月に導入したKCCSの公共図書館システム「ELCIELO」です。
図書館様の課題に答える「ELCIELO」
複数社の中からKCCSのプランが選定される決め手となったのは、図書館側の急な運用変更などにも即時に応える「ELCIELO」のシステムの柔軟性と正確性、そして“ビジョン”を常に共有し合える支援体制にあったといいます。

さらに、「KCCS様の『ELCIELO』はいわば後発のシステムでしたが、その発想や作り方に他のシステムにはない先見性を感じましたし、KCCS様と対話する中で、これは“パートナー”として一緒に成長していけるのではないかという期待感を端々から抱きました」と村田氏。

柔軟性と正確性については、具体例を挙げていただきました。

「例えば、猛暑のため移動図書館の巡回がなくなるとか、自習室の利用時間が変わるなど図書館の運用が急に変わることがありますが、当時の図書館システムでは日付が変わらないとそうした新しい運用の変更など利用者様に対する情報発信が難しい仕様でした。その点『ELCIELO』は即時に情報の更新ができ、新しい情報は図書館ホームページの『お知らせ』に表示され、利用者様にも登録メール宛に瞬時に通知されます。また、システムの簡易な変更や微調整は図書館側でも対応できるなど『ELCIELO』はシステム運用においても柔軟性が非常にあります。これは後に感染症流行時に非来館の形に急に運用変更する必要が生まれた際などにも大変効力を発揮しました。利用者様にとって間違いのない情報を、適切なタイミングで情報発信できるシステムといえますね」

KCCS内田が補足します。

「『ELCIELO』の柔軟性の面でいうと、表示画面や業務画面なども、各自治体様によって表示するもの、しないものを必要に応じて選べます。それもカスタマイズという形ではなくて、導入時の簡単なパラメータの変更で可能なので、そういった部分の対応力もポイントといえます」

「『ELCIELO』は柔軟性に加えて、とくに図書受取ロッカーとの連携に顕著ですが、貸出期間や本のステータスが正確に把握できるという利点がある」と村田氏。

説明する営業担当の内田
「一般的には、利用者様が貸出予約を入れてから駅のロッカーに本を取りに来るまでにタイムラグがあると、その分貸出期間が短くなるなどの不平等が生じますが、『ELCIELO』と図書受取ロッカーなら、利用者様が扉を開けた瞬間に情報が送られ、その時点から2週間の貸出期間がスタートします。
正確な貸出期間。マイページで本のステータス確認

「ELCIELO」業務画面を操作する村田氏

「ELCIELO」業務画面を操作する村田氏

さらに、「このシステムなら、例えば利用者が取りに来なかったのに貸し出しとしてカウントされるなどの齟齬がありません。こうした食い違いがあると、図書館の統計を取るときに、図書受取ロッカーの年間利用者にずれが生じてきます。国の交付金で導入しているロッカーである以上、正確な情報、正確な利用年代など、正確な数値を図書館側が把握できるシステムであることはとても重要です。

「年1回のメジャーバージョンアップと保守が契約に組み込まれている点も大きなポイントですね。システム自体にも定期的な進化は欠かせませんから」

図書館司書資格を持つ開発担当者をはじめ、
KCCS専門スタッフと想いを共有し、新サービス導入へ

図書館の目線に立って一緒に課題に取り組むKCCSの姿勢と手厚い支援体制も大きな選定ポイントだったそうです。

「図書館システムのベンダーさんには珍しく、KCCS様の場合は開発の担当者とも直接話す機会が多々ありました」と村田氏。「しかも、KCCS様には開発の担当者に図書館司書の資格をお持ちの方がいらっしゃるなど、図書館業務に造詣が深いので、表面的なシステム修正にとどまらず、深く、根本的な領域まで踏み込んで一緒に考えてもらえるのはありがたかったです

お話される村田様

KCCS内田「営業でも図書館司書の資格を保有していたり、現在司書課程を履修中のメンバーがいます。図書館様の目線で課題を一緒に捉えられるというところが、強みの1つにもなっていると思います」

この図書受取ロッカーや書架案内ロボットは、「デジタル田園都市国家構想交付金 デジタル実装タイプ(TYPE 1)」に採択され、国からの交付金で導入費用が賄われていますが、この交付金申請についてもKCCS担当者のアドバイスとサポートがありました。村田氏は、図書館側の想いを理解し、申請が通るような形にプランのブラッシュアップを一緒に考えてくれたと目を細めます。

「自治体は人事異動が付き物で、未経験のまま導入担当になる人も多いので、こうした手厚い支援体制があることは心強いですね

「KCCS様が一番際だっていると感じたのが、『新しい技術をどんどん取り入れていこう』とする意識です。オーディオブックやオンライン認証なども、他社に先駆けて取り組んでいただきましたが、『図書館システムの提供を軸にして、図書館の業界のあり方自体を牽引していこう、変えていこう』というやる気と熱意をKCCS様のスタッフの方々から強く感じました」

新サービス導入後の効果について

「ELCIELO」と図書受取ロッカーの運用を始めてからの顕著な傾向として、今まで図書館を利用していなかった新規の登録者・利用者が増えた点が挙げられるそうです。
「ロッカーと『ELCIELO』連携の大きな特長、それは完全なオンラインの形で、図書館に来なくても本の貸出利用ができるということです。図書館を使いたくても遠いとか、忙しいなどの理由で使えないでいた層にアプローチできるようになったのは喜ばしいと思っています。このことは図書館員にとってもやりがいにつながるものだと思っています」と村田氏。
利用データによると、わずか3カ月の間に20代~50代では図書館本館よりも図書受取ロッカーの利用割合が高くなっていることがわかります。
年代別の利用者割合

次はAI検索機能の導入へ。
古い「図書館」イメージを刷新するサービスをこれからも

最後に、図書館としての課題や、今後の展望について話を伺いました。

 

「一つは、図書館システムの検索能力というものがまだまだ完全一致しか基本的に受け付けず、一般的なネット検索のようなユーザビリティが得られないのは問題だと考えていまして、AIを使った検索機能を『ELCIELO』上に今後取り入れて、検索システムの高度化を図っていくことをKCCS様に相談しているところです」と村田氏。

 

一般社会では当たり前に普及しているのに、図書館ではまだそれが実用化されていないことも多いと村田氏は話します。

オンラインの利用登録一つとっても、例えば銀行などでは店舗に来ない状態での本人認証は一般的になってきていると思います。こうした、世間で常識になっていることを少しでも取り入れていきたい。図書館は、図書館情報学という学問があるように情報の世界を扱っているはずなのに、ICTやDXで世間の水準よりも低いようではいけないと考えます。将来の“ビジョン”をKCCS様と語らいながら、パートナーとして、一緒に図書館運営や図書館システムをレベルアップさせていければと思います

左から、村田 直史様(奈良市)、書架案内ロボット「しかまろくん」、内田 雄規(京セラコミュニケーションシステム株式会社)
左から、村田 直史様(奈良市)、書架案内ロボット「しかまろくん」、内田 雄規(京セラコミュニケーションシステム株式会社)

掲載日:2025年9月10日

取材日:2025年6月23日

  • 所在地:奈良県奈良市
  • 職員数:中央図書館 32名、西部図書館 21名、北部図書館 19名、計72名(2024年4月1日現在)
  • URL: https://library.city.nara.nara.jp/

  • 奈良市様は、市内に3つの図書館を持ち、地域住民の学びと文化活動を支えるためデジタル技術を活用した情報提供など幅広いサービスを提供されています。
  • 記載の製品ならびにサービス名および会社名などは、それぞれ各社の商標または登録商標です。
  • サービス内容は予告なく変更する場合があります。
  • 掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
  • KCCSは京セラコミュニケーションシステムの略称です。

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