愛知県南端の渥美半島に位置する⽥原市は、北は三河湾、南は太平洋に⾯し温暖で、花き類の栽培や野菜・果実の⽣産、漁業などの⼀次産業と⼆次産業、観光業などの三次産業がバランスよく存在する⾃治体です。「住み続けたいまちづくり」「住んでみたい、訪ねてみたいまちづくり」「未来につながるまちづくり」を重点施策に教育や⼦育て⽀援などを積極的に進めていますが、多くの地⽅⾃治体と同様に⼈⼝減少と少⼦⾼齢化が進み、ピーク時には6万⼈以上あった⼈⼝も2025年10⽉現在約5万6千⼈となり、社会保障費の増加や物価高騰に加え公共施設の維持管理など財政的な課題が大きくなってきています。⽥原市図書館様は、中央図書館と⾚⽻根図書館、渥美図書館の3館で構成。読書や図書館利⽤の地域格差を補うため2台の移動図書館で広⼤な半島全域に図書館サービスを提供しています。しかし、少ない⼈員での運営には限りがあり、またデジタル化による利⽤者の利便性向上を⽬指すものの、予算の制約により実現は困難な状況が続いていました。こうした中、⽥原市図書館様は念願であった「学校図書館の電算化と公共図書館とのネットワーク化」と「AIスマートライブラリー」導⼊を、内閣府の地⽅創⽣推進制度である「デジタル⽥園都市国家構想交付⾦」を活⽤して2025年3⽉に実現。ICT導⼊のベースとなった公共図書館システム「ELCIELO」および学校図書館システム「EL-1」、また京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)の開発とサポートについて館⻑の是住 久美⼦ ⽒と司書の⼾塚 康平 ⽒にKCCS担当営業の⽔⿃ 誠、担当SEの安藤 義之を交えてお話を伺いました。
2025年3⽉からICTを利⽤した新たなサービスがスタートしました。システムが導⼊される前には、学校司書の皆さんの疑問に応える会を⽥原市図書館様で⾏い、また実際に使う直前の段階にはシステム操作についての説明会を担当SEの安藤 義之をはじめとするKCCSスタッフが実施。スムーズな導⼊のお⼿伝いを⾏いました。
最後に、今後の展望について話を伺いました。
「⾚⽻根図書館は建物が⽼朽化し、図書館機能と市役所の窓⼝機能が⼀緒になった⼩規模な建物に建て替える計画があります。そこではさらに効率的な⼈員配置が求められます。今回のAIスマートライブラリー化も、職員がいない時間帯が⽣まれることを想定して今から利⽤者様と職員の双⽅に無⼈の状況に慣れてもらう意味もありました」
今後はどの分野も人材不足で、確保したい人員を集めることが難しくなってくるという現実もあるともいいます。こうした地⽅都市共通の悩みもあり、セルフ貸出機や遠隔レファレンスなどの図書館DXで省⼒化を進め、少人数での運用が今後ますます必要になるでしょうと是住⽒は話されました。
また、様々な厳しい状況はあるものの、地⽅図書館の役割はこれからもっと重要になると是住⽒は締めくくりました。
「⼦どもたちや市⺠の皆様がこの地域に誇りを持って⽣きていく。それが⼤事だと考えています。シビックプライドとか地域アイデンティティと⾔われますが、やはり⼈⼝減少が⼤きな課題ではあるので、地域の歴史や⽂化を知り、この地域には他にない魅⼒があることを知っていただくために、⽥原市では『ふるさと教育』に⼒を⼊れています。そのためにも、地域の歴史や⽂化を電⼦資料として記録し、発信していく、いわゆるデジタルアーカイブ化を市⺠の皆様と協働で推進していきます。協働といえば、『本離れ』に⻭⽌めをかけようと市内の書店様と⽥原市図書館が連携し、読書推進と地域活性化を⽬指す取り組みも始まっています。その⼀環として、図書館と書店の連携による仕組みづくりが検討されており、現在は今後の仕組化を⾒据え、『ELCIELO』を通じて⼀部書店の在庫情報を表⽰する取り組みが試⾏されています」
今後の様々な取り組みにおいても、常に図書館側の理念と現場の現状を念頭に置きながら柔軟性のある提案を⾏ってくれるKCCSの冷静かつ⼿厚いサポートを期待していると是住⽒は締めくくりました。
KCCSはこれからも、図書館様のビジョン実現に向けたパートナーとして様々なサポートを続けていきます。
掲載日:2026年2月12日 取材日:2025年11月12日