導入事例

日本カノマックス株式会社

作成者: KCCSマーケティング編集部|Jun 19, 2026 1:41:09 AM

導入したプロダクト/サービス


1. 50種以上のサブシステムを駆使した既存の基幹システムが限界に

同社はグループを挙げて「グローバル・ニッチ・リーダー企業集団になる」という目標を掲げている。ニッチかつ専門的な顧客のニーズに応えるために、一般的な製造業に比べて少量多品種生産や特注品を手がける割合が高いことが大きな特徴だ。

これを支える生産管理体制には高度な仕組みが必要になる。こうした体制を支えていたのが、製造と販売管理で別々に構築したシステムと、「Microsoft Access」(データベースソフト)や「Microsoft Excel」を用いて構築したサブシステムを組み合わせた基幹システムだ。利用していたサブシステムは、複雑な生産管理に対応するため50種以上にもおよんでいた。この各サブシステムのコード体系が統一されていないため、あるシステムから取得したデータと別のシステムのデータの集計軸が合わないといった問題が発生していたという。

また、グローバル化への対応も課題として浮上していた。同社は日本とアジア、北米、欧州の4極で均等な売上規模の実現を目指しており、データ分析の際に為替の換算が必要になるケースも多い。しかし、従来のシステムは多通貨・多言語に未対応であったため、多数ある海外販売や海外からの仕入れすべてを円に換算した上で、データを保持する必要があるなど業務改善・拡張の制約となっていた。このほか、従来のシステムでは消費税率の変更に対応できないという課題も抱えていた。
「生産管理や財務管理を含めた経営基盤を刷新すれば、課題を一気に解決できる」。同社を率いる加野氏は、このように考えて新たにERP(統合基幹業務システム)を導入することを決断する。こうして2015年10月に、加野氏をオーナー、村上氏をオーナー補佐としたERP導入プロジェクトがキックオフした。

2. 生産管理機能の豊富さとサポート体制が選定の決め手に

このプロジェクトでは、新システムに対して大きく3つの目標を掲げた。

  1. 意思決定・経営判断の迅速化(経営管理基盤作り)
  2. グローバル対応(グループ経営への対応)
  3. オペレーショナルエクセレンスの追及(強い現場作り)

――の3つだ。さらに、オンプレミス型の既存システムでは非常に負荷が高くなっていた運用費用やセキュリティ対策費用の大幅な削減を狙って、新システムをアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供するクラウド上に構築することも決めていた。クラウドであれば、グローバルに展開する際に同様の環境が容易に構築できることも大きな利点だ。
システム選定に当たっては"生産管理に強いERPパッケージ"を対象とした。KCCSが提案する米インフォア社のInfor SyteLineを含めた3製品が最終候補に残った。
この中からInfor SyteLineを選定した理由は、生産管理機能が最も充実していたことと、現場社員が使い慣れているExcelとの親和性が高かったこと、そしてKCCSのサポート体制を高く評価したためだ。
特に生産管理機能の豊富さは重要な選定要件だった。同社はニッチかつ専門的な市場のニーズに応えるために少量多品種製品や特注品を手がける割合が高く、資材調達・生産・在庫管理などが非常に複雑になるためだ。
マルチ・モード生産機能を備えたInfor SyteLineであれば、少量多品種の生産形態や異なる生産形態を組み合わせた生産計画・管理(ハイブリッド生産)を実現でき、製品・部品の設定が複雑な特注品についても仕様通りに正確に構成して納品できる。さらにAPSエンジンによるリアルタイム納期回答が実装されているため、想定外の発注が発生した場合には、他製品への影響を考慮した上で、すばやく生産スケジュールを変更し、リアルタイムで納期を算出できる。

また、加野氏は新システムの導入に当たって、業務をゼロベースで見直し、できるだけERPパッケージが備えている標準機能に合わせようと考えていた。Infor SyteLineは製造業の専門家が25年以上にわたる経験を凝縮して開発したソリューションで、製造業に必要な業務フローがあらかじめ組み込まれている。加えて多言語・多通貨対応で、複数のグループ企業を単一のシステムで管理できるマルチカンパニー対応機能があり、グローバルで約6,000社の導入実績がある。この点について、加野氏は次のように説明する。
「世界的に大きな実績を持っているERPパッケージであれば、標準機能はベストプラクティスになっているはずです。であれば、それを採用することで当社の業務プロセスがグローバルレベルでのベストプラクティスになるわけです。こうした観点でInfor SyteLineの生産管理機能を評価しました」。
実際、同社ではInfor SyteLineを導入する際にカスタマイズをほとんど行っていない。カスタマイズが必要な場合は、そのプロセス自体が明確に価値を生むことをマネジメント層に説明して承認されなければ実施しないという運用にし、ERPパッケージを導入する際に一般的に行われているフィット&ギャップを行わなかった。
これにはバージョンアップの際にも余剰な改修費用が発生しないという財務的効果も見込まれている。

村上氏は、KCCSのサポート体制も選定の大きな要因になったとして次のように語る。
「デモから最終プレゼン時まで、多大な熱意をもって対応していただけました。このことは英語ができるメンバーばかりではない当社が、海外製のシステムを導入するということを決定する上での大きな後押しとなりました。AWSが提供しているクラウドサービスのノウハウやスキルが豊富であることも、KCCSを高く評価したポイントです」。
KCCSは、AWSのプライベートネットワークと社内ネットワークをVPN接続することで利便性と安全性を損なわずにクラウドを利用できる環境を構築した。

新システムは2017年4月から稼働を開始している。ERPのような基幹システムの場合、混乱やトラブルを避けるために旧システムと並行稼働する期間を設けるのが一般的だが、日本カノマックスはコストを削減するために、一気にシステムを切り換える「ビッグバン導入」を決断する。これに対応するためにKCCSでは、綿密な計画を立てた。

3. ERPを駆使してグローバルレベルで継続的に業務を改善

加野氏は新システムの効果や将来展望を次のように語る。
「当初に掲げた目標が実現でき、期待した効果が得られています。特にリアルタイムでデータを取得することができ、誰でも自由にさまざまな分析作業が行えるようになった点を高く評価しています。業務や部門を横断したデータの算出は1週間かかることもありましたが、今はすぐに出てくるようになり、経営層と現場の双方で意思決定のスピードが格段に速くなったことを実感しています。さらに、50以上のサブシステムをすべてInfor SyteLineに統合できたことで情報の一元化が実現できました。これにより複数システムへの入力工数やマスターデータの複数管理など無駄な業務処理を大幅に削減できました。さらなる成長に向けた経営基盤が完成したと考えています」。
加野氏は今後、クラウド上に構築したInfor SyteLineをグローバルで展開することを見据えている。このシステムを駆使することで、グローバルレベルで業務を継続的に改善し、さらなる成長に結びつけたいと考えている。


掲載日:2018年10月4日 取材時期:2018年8月 

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